岡田阪神18年ぶり悲願の“アレ”を引き寄せる平田ヘッドの忠義 ゴルフ対決でも燃えまくり!
阪神は9日からヤクルト-DeNAと甲子園6連戦を行う。昨シーズンのリーグ覇者と2位チームは、岡田彰布監督(65)が警戒する強敵でもある。ツバメの三冠王・村上とベイの主砲・牧は、侍ジャパンでも存在感を発揮。評論家諸氏の下馬評も高い両軍だけに、どうする岡田監督。
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18年ぶりの「アレ」をめざす岡田監督にとって、何よりも心強いのが平田勝男ヘッドコーチ(63)の存在だろう。ピンチの時ほど岡田監督に寄り添い、押せ押せムードの時は持ち前の明るさでベンチを鼓舞。昨年までコーチ-二軍監督と10年連続で虎ナインを指導し、その能力や性格を熟知しているから、15年ぶりに復帰した岡田監督のギャップを補って余りある。
2人は第1次岡田政権でもタッグを組んだ。その時、平田ヘッドはこう話していた。
「ヘッドだから作戦を助言するなんてとんでもない。戦術はすべて岡田さんが仕切る。オレは選手の状態を伝えたり、岡田さんと選手の間をどう取り持つかを考える。岡田さんが気分よく采配を振るためにな」
■仕掛け人は吉田義男氏
そんな名コンビは現役時代、二遊間を組んだ仲でもある。仕掛け人は日本一監督の吉田義男氏。1985年。前年まで足の故障の影響でライトを守っていた岡田監督をセカンドに戻し、真弓明信氏をショートに戻さずライトにコンバートして平田ヘッドを続投させた。
「岡田は軸足がしっかりしていて、セカンドベース上が非常に強い。走者を怖がってよけないから、確実にゲッツーを取れる二塁手だ」
吉田氏はそう説明したが、本当に走者が怖くないのか。岡田監督に尋ねたことを覚えている。
「走者が送球コースをふさいだり、オレを倒そうと向かってきたら? 簡単やんか。一塁送球の時に当てたらアカンけど、顔面スレスレに投げればええ。怖くて二度とそんなことしてこんやろ。要はナメられたらアカンということよ」
こうして誕生した二遊間の連係プレーは、実に見ごたえがあった。4-6-3、6-4-3の流れるような併殺はもちろん、無走者で4-6-3の補殺もあった。これは二遊間の深いゴロを岡田監督が捕球し、反転してジャンピングスローではなく、近くに寄った平田ヘッドにグラブトス。素早く一塁送球し、打者走者を刺す曲芸のようなプレーだ。たとえセーフになってもスタンドは沸き、2人とも笑って本当に楽しそうだった。
平田ヘッドは昨オフ、実はポスト矢野燿大氏の有力候補のひとりだったが、初めてのことではない。金本知憲氏、矢野氏の監督就任時に続き、実に3度目の次期候補だった。
だから声をかける際に「平田コーチ」とは呼ばず、親しみを込めて「次期候補」、略して「次期」と呼んでいた。すると「次期、次期ってうるさいなぁ。オレは磁気ネックレスか」と大笑い。明朗快活な平田ヘッドの本領発揮だった。