岡田阪神18年ぶり悲願の“アレ”を引き寄せる平田ヘッドの忠義 ゴルフ対決でも燃えまくり!
頼むぞ!兄弟分の腹心
そんな平田ヘッドの岡田監督への忠義を物語るエピソードがある。2001年11月の高知・安芸秋季キャンプ終盤。野村克也監督の4年目の留任が発表されていたが、この頃には沙知代夫人の脱税疑惑が表面化し、辞任は不可避だろうという空気が充満していた。
そのタイミングで、キャンプ休日に岡田監督がゴルフで息抜きすることを知った。教えてくれた関係者によると、当時の岡田二軍監督と平田内野守備コーチがペアを組み、木戸ヘッドコーチと吉竹外野守備コーチが組んで勝負するという。
野村監督が辞任する事態となれば、次期監督は幹部候補の岡田二軍監督か。それとも野村監督が指導力と野球理論を高く評価し、この秋にヘッドに抜擢した木戸コーチか。内部昇格なら2人の一騎打ちの様相を呈していた。
そこで一部のチーム関係者たちは「今度のゴルフで次期監督の座をかけたらいい。勝った方が新監督や」と悪ノリ。さすがに当事者2人には聞けなかったので、平田ヘッドに「みんな、こんなことを言って盛り上がってるよ」と当ててみた。すると、「そうか。それなら絶対に負けられんな。岡田さんのためにもな」とノッてくれた。しかし、目は笑っていなかった。
舞台となる高知黒潮CCに電話を入れ、戦いのゴングが鳴るスタート時間、リングとなる3つのどのコースをラウンドするのかを聞き、決戦風の記事にした。岡田監督には「おまえ、しょうもないことを」とニラまれたが、平田ヘッドの献身的な姿勢が垣間見えた一件だった。
05年9月7日の中日戦(ナゴヤドーム)。岡田監督があわや放棄試合かという猛抗議をした際、平田ヘッドは指揮官を守ろうと橘高球審を突き飛ばして退場処分になった。「アレ」のため、今回も身を粉にして岡田監督に仕えることだろう。
(スポーツライター・長浜喜一)