今さら聞けない「スイーパー」って何? エンゼルス大谷翔平が繰り出す“魔球”を徹底解剖
「普通のスライダーより2段階曲がる」
中日、巨人などで捕手として活躍し、その巨人のエース斎藤とバッテリーを組んでいた中尾孝義氏がこう証言する。
「確かに斎藤のスライダーに近い軌道ですね。昔はスライダーとカーブの間のような変化球を『スラーブ』といった。斎藤にスライダーを振らされた助っ人選手が『普通より2段階曲がるんだから打てるはずはない』とコメントしたのを覚えています。これくらい曲がるだろうと思ってスイングしたら、想定の2倍の大きさで曲がったといいます。大谷と対戦している打者も、そんな印象を持っているのではないか」
どう投げれば、あんなに曲がるのか。故障の恐れはないのか。前出の武田氏が解説する。
「基本的にスライダーと握りは同じ。スイーパーはスライダーよりひねりが大きい分、手首から肘にかけて負担がかかるだけに、故障リスクが指摘されますが、多くの投手はブルペンで習得する段階で無理のない投げ方、フォームを身につけているはず。大谷も開幕から見る限り、時々甘く入って痛打を浴びることはありますが、スイーパーを投げることでフィジカルに負担がかかっているようには見えません。右肘の手術から復帰した19年以降は年々体が強くなっているので故障の心配は少ないと思います」