大型FWのオランダ小川航基は「呼ばざるを得ないと思わせる活躍をしたい」と気迫を押し出した
小川航基(NECナイメンヘン/FW/26歳)
かつて「東京五輪世代のエースFW」と位置付けられ、日本代表デビューとなった2019年東アジアE-1選手権・香港戦(釜山)でいきなりハットトリックを達成した小川航基(NECナイメンヘン)。
その後は代表から遠ざかっていたが、今夏のオランダ1部移籍直後の2ゴールで復帰待望論も高まった。
「開幕2戦で2点取っただけで(メディアに)取り上げてもらって凄く有難いですけど、今までいる選手との序列を覆すのは簡単じゃない。『自分を呼びたい』と思わせる活躍をするべき」と本人は自らを戒めた。
身長186センチ・体重80キロという大柄な体躯と鋭い得点感覚が買われ、2017年U-20W杯(韓国)の頃は「東京五輪世代の筆頭FW」と評価された小川。
同大会には今の日本代表の主力である板倉滉(ボルシアMG)、冨安健洋(アーセナル)、堂安律(フライブルク)らも名を連ねており、小川も彼らとともに東京五輪、カタールW杯と順調に歩んでいくと思われた。
だが、2016年に入団したジュビロ磐田で思うように出番を得られず、長い足踏み状態を強いられた。
2019年にはJ2・水戸へレンタルされ、7得点。自信を取り戻したかと思われたが、復帰した後も磐田では停滞が続いた。
「このままじゃいけない」と一念発起した彼は2022年に出身地のクラブである横浜FCへ完全移籍。J2ながら26ゴールを挙げ、得点王&MVPに輝く。
これには桐光学園高の先輩・中村俊輔(現横浜FCコーチ)も「航基のことはジュビロに入った頃から『この子は甘くて大丈夫かな』と思ってた。でもこれだけ点取ったでしょ。やっぱ選手は決めつけちゃいけない」と驚き半分に語ったほどだ。
4年ぶりのJ1挑戦となった今季も前半だけで6点を奪い、長年の海外移籍を現実のものにした。
「プロになって2~3年で海外へ出ていくつもりだったのが、ここまで来てしまった。『遅かった海外移籍』だと思います。でもこれが現実で、自分が招いたこと。ラストチャンスと言われる25歳の移籍だけど過去は変えられない。今から海外で点を取って、代表に入って、どんどんステップアップしていけば問題ないと思ってます」と小川はNEC移籍が正式決定した7月、こう強調していた。
異国での適応はスムーズに進んだ。プレシーズンマッチから得点を挙げ、8月13日の今季オランダ1部開幕・エクセルシオール戦では堂々と1トップで先発。待望の新天地初得点も奪い、幸先のいい一歩を踏み出した。
続く18日のヘラクレス戦でも連続弾をゲット。代表候補として存在感を一気に高めたのである。