新入幕の狼雅は「白鵬杯」の看板を見て運命が変わった 外国人力士として初の高校横綱に
狼雅外喜義(24歳・二子山部屋・前頭16枚目)
モンゴル人の父とロシア人の母を持ち、ロシア連邦を構成するトゥバ共和国出身。子供の頃はロシアで警察官になるのが夢だったが、中学時代に父の祖国、モンゴルに移住。レスリングや柔道などに励み、常にトップクラスの成績を残していた。
そんな折、たまたま目にしたのが白鵬杯の出場者募集の看板だ。白鵬杯とは、2010年から日本で行われている横綱白鵬(現宮城野親方)の名を冠した相撲大会。父に「出てみたらどうだ」と言われるままに出場し、上位入賞。この活躍が相撲強豪校・鳥取城北高の石浦外喜義監督の目に留まり、留学が決定した。
当時を知る関係者は「入学当初は線が細かった」と、こう続ける。
「男子部員どころか、女子部員にも負けっぱなし。それでも毎日の稽古とちゃんこで着々と体重を増やし、高校3年間で30キロ太った。3年時の高校総体では豊昇龍を破り、外国出身力士として初の高校横綱に輝いた」
鳴り物入りで角界入りを果たしたものの、同期の豊昇龍や王鵬たちに次々に抜かれ、今場所が新入幕。「穏やかで優しすぎると言っても過言ではない性格が足を引っ張った、ともっぱらです」とは前出の関係者。