固唾を飲む2敗対決は大関・霧島が強敵の琴ノ若を撃破…相撲協会が安堵のワケ
やはり地力では頭ひとつ抜けているか。
23日の大相撲11月場所12日目、3大関の先陣を切ったのが、2敗で優勝戦線のトップを走る霧島(27)だ。
相手は同じく2敗の関脇琴ノ若。左四つの霧島に対し、琴ノ若は右四つ。ケンカ四つの両者とあり、差し手争いに注目が集まった。
どちらが得意の体勢に持ち込むのか……そう思われた矢先、霧島は意外にも左上手を素早く取ると、続けて右手で相手の前まわしを掴む。しっかりと頭をつけているので、琴ノ若は動くに動けない。最後は外掛けを見せつつ、じりじりと前に出た霧島が寄り切った。
身長はほぼ変わらない両者だが、体重は170キロの琴ノ若に比べ、霧島は145キロの“軽量級”。正面から25キロ差を覆したように、霧島は巨漢力士にひけをとらないパワーの持ち主。組んで頭をつけ、粘り強く攻める相撲も持ち味のひとつだ。
角界OBは「霧島の相撲は安心して見ていられる」とこう話す。
「それでもこの日は気鋭の琴ノ若が相手なのでやや不安もあったが、逆に大関候補に力の差を見せつけましたね。これには相撲協会も安堵したでしょう。横綱照ノ富士は足腰のケガと病気もあり、3場所連続休場中。いずれにせよ、横綱としては長く取れないのは明白です。だからこそ新横綱待望論が出ているものの、いかんせん、突き押ししかできない貴景勝では力不足。一応、今場所は綱とりがかかっていたものの、協会内での期待は皆無だったはず。その点、霧島は安定感でいえば、今の土俵で一番ですからね」
今場所優勝なら当然、次の1月は綱とり場所になる。果たして霧島は期待に応えられるか。