坂本紘司氏が語る“湘南らしさ”とは? 選手の「未来予想図」を共有してキャリアを一緒に作り上げたい
湘南ベルマーレ 坂本社長インタビュー(下)
現役時代は、まさか自分がJクラブの社長になるなんて想像もしていませんでした。
13年間過ごした湘南ベルマーレから契約満了を告げられたとき、正直に言うと体はまだまだ動きましたし、あと数年はプレーできる自信はありました。
ですが、湘南に身も心も捧げていたので別チームへ移籍してプレーするという情熱が、どうしても沸いてきませんでした。
引退して幸運にもクラブに残れたのですが、1年目は週に2回スクールのコーチをやりながら、あとの時間はスーツを着てネクタイを締め、営業マンとしていろいろなところを訪問させてもらいました。
サッカー選手を辞めた後、指導者を目指す人も少なくありませんが、自分の場合は「引退してからも自分の財産=サッカー選手としての経験のみをベースに仕事を続けるのはしっくりこない」と思っていましたので、ジャージを着ない部署にまわしていただきました。
もちろん流ちょうに営業トークを話すことはできませんし、ビジネスとしてのパソコンも上手に扱うこともできませんでした。
でも「やったことのないことをやりたい。新しくいろんなもの吸収したい」と決心していたので、選択は間違っていなかったと思っています。
2年目からはスクールのコーチとの兼任ではなく、営業として計3年半働きました。
最初は元Jリーガーを相手に伝えるのをためらっていたのですが、しばらくして「使える武器は何でも使わなければいけない」と思い直し、積極的に話題に取り入れるようにしました。
自分だけの力ではなく、周囲のサポートの賜物ではありますが、まずまずの営業成績だったと思います。
そこから強化部に異動になり、GMを務めてから現職に就きました。