「血の入れ替え」で入団した金本知憲さんにはよく怒られた。何より凄まじかった1点の執念

2001年オフに野村克也監督の辞任を受け、中日の監督から間を置かずして阪神の監督に電撃就任したのが星野仙一さんだ。初年度はBクラスの4位に終わり、大胆な「血の入れ替え」を宣言し、当時の久万俊二郎オーナーを説得。阪神本社の「金庫」を開けさせたとされる。用意された再建資金は50億円とも60億円とも報じられた。
星野伸之さんら20人を退団させた上で大型補強に乗り出した。その目玉が広島からFA宣言した金本知憲さんだった。
この時に阪神が狙っていた元ヤクルトのロベルト・ペタジーニの争奪戦で巨人に敗れ、FA交渉していた中村紀洋さんも近鉄残留を決めた。星野監督の構想は頓挫しかけていた。金本さんはどうしても欲しい選手で、「阪神を本当に変えるためには、チームの血を入れ替える必要があった。カネのように闘争心があって負けることが大嫌いで努力を惜しまない兄貴分的なリーダーがチームに必要やったんや」と力説していた。
報道によれば、星野監督は「球界全体を考えろ」「おまえは俺と一緒に歩むことになっている」などと投げかけ、「とにかく早く(ハンコを)押せ! 今すぐ決めろ!」と即決を迫り、その場で入団が決まったという。
金本さんは03年に阪神の3番に座り、フルイニング試合出場を続けた。「鉄人」の異名通り、何があっても休まない。試合後には必ず素振りとフィジカルトレーニングを終えてから帰宅する。そんなストイックな姿勢はチームの空気を一変させた。何より1点への執念が凄まじかった。
淡泊に思われがちだった僕は、よく金本さんに怒られた。例えば走塁だ。
僕は一塁の走者で、次の打者の打球が右中間を深々と抜ける。広い甲子園だけに一気に生還したいところ。それなのに、僕は本塁でタッチアウトとなった。
ベンチに帰ると、金本さんにこう一喝された。
「今岡! あれで
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り192文字/全文989文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】