新横綱豊昇龍が手本にすべきは「不安から一転」の大横綱…周囲の“酷評”を覆せるか
雑音を吹き飛ばせるかは本人次第だ。
新横綱として3月場所(9日初日)に臨む豊昇龍(25)。4日は出稽古で20番を取るなど調整に余念がない。
そんな新横綱だが、角界内外で不安の声が出ている。
直近2場所は13勝2敗の優勝次点、12勝3敗の優勝。大関在位9場所で一度も負け越しがない半面、突出した成績もあげていない。相撲協会から安定感を評価され、昇進となったものの、下位力士相手に取りこぼすことも多く、優勝した先場所も平幕相手に3敗。昨年3~9月は4場所連続で初日黒星である。
今から不安がぬぐえないが、過去にもそうした懐疑の目にさらされながら、不世出の横綱となった力士がいる。それが「昭和の大横綱」こと千代の富士だ。
当時を知る角界OBが言う。
「千代の富士は13勝2敗、14勝1敗の優勝で横綱に昇進した。成績自体は文句なしだったが、当時ですら120キロ台は軽量級でしたからね。しかも、新横綱の場所をいきなりケガで途中休場。ファンはおろか、親方衆からも『短命で終わるのではないか』『あれでは横綱は務まらない』と酷評されたほど。そんな千代の富士が変わったのは、横綱2場所目。初日から若乃花、途中で北の湖と2横綱が休場。いきなり一人横綱の重責を背負うことになった。そこで優勝したことが自信となり、その後は軌道に乗った。もし、この場所を落としていたら、『昭和の大横綱』として語り継がれることはなかったかもしれない」