「兵器と戦術の世界史」金子常規著
■勝敗に果たした兵器の役割を検証
兵器の性能は軍事力の優越を決め、時に国の運命さえ左右する。本書は、戦闘の変遷を、兵器装備がその勝敗に果たした役割から検証した名著。
初期の兵器は、刀や槍の白兵(近接格闘戦で使用する刃物の兵器)だが、同時に投石や弓矢などの投てき兵器を使って敵を弱体化、無力化する考えも発生した。そして、領土の拡大とともに軍隊の規模も大きくなり、洋の東西を問わず二輪の戦車が戦場に登場。出土品から紀元前1600年ごろには既に木製の戦車が投入されていたことが分かるという。そうした古代の戦闘から、ミサイル形式の対空・対戦車火器が初めて有効的な働きをした第4次中東戦争まで俯瞰しながら「兵器と戦術」の役割を検証する。
(中央公論新社 1000円)