物語人生論「心の力」が話題 姜尚中氏に聞く

公開日: 更新日:

 役に立つかどうかだけを問い、効率化を求めて生きる現実世界とは別のもうひとつの世界として、「魔の山」ではスイスアルプスのダボスにある結核サナトリウムが描かれ、「こころ」では主人公と先生の対話の場面が描かれていると姜氏はいう。

「強者の論理ばかりが声高に唱えられる世の中で、ごく普通の人が生き延びるのに役立つ安易なサプリメントはないかもしれません。けれど、一見モラトリアム的にしか見えない『ダボス的時間』や、人々が目もくれない誠実で凡庸な人間の中にこそ、心を太く育てる力が眠っているように思います」

◇カン・サンジュン 1950年生まれ。聖学院大学全学教授、東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。著書に「悩む力」「続・悩む力」のほか、「マックス・ウェーバーと近代」「オリエンタリズムの彼方へ」など。小説作品には「母―オモニ」「心」がある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が