「東京最後の異界 鶯谷」本橋信宏氏
■「ラブホテル街と霊園という落差を内包した鶯谷の魅力を探りました」
JR山手線の、鶯谷駅に降り立ったことがあるだろうか。台東区に位置し、山手線の中で1日の乗降客数がもっとも少なく、“みどりの窓口”もない。そんな慎ましやかな鶯谷が最近、デリヘルの聖地となっている。
「鶯谷駅のホームから山手線の内側に目を向けると、そこに広がるのは上野寛永寺の霊園が広がる厳かな風景。一方、外側方面には、ラブホテルがこれでもかと乱立しています。これだけ落差のある世界を見渡せるのは、鶯谷をおいて他にないでしょうね」
新風営法の施行で店舗型風俗店が厳しく制限された一方、無店舗型の派遣風俗店、いわゆるデリヘルが急増した。
本書には、デリヘル嬢へのインタビューの他、客である男たちへの突撃インタビューも載っている。
「男という生き物は、メシを食った後と一発ヤッた後は気持ちが“ほっこり”としているので、心を開いて話してくれましたよ(笑い)。30代後半で妻子持ちの男性は、2万円90分コースの人妻デリヘルで、3回戦をこなしてきたというツワモノでした。多くのサラリーマンにとって、鶯谷は“会社と自宅の通勤圏にない”ところが魅力のようです」