「ミツバチの会議」トーマス・シーリー著、片岡夏実訳
■なんと、ミツバチ社会の意思決定は民主主義!
ミツバチが仲間に情報を伝えるとき、尻を振りながら8の字を描くダンスを行うことは知られている。ここから一歩踏み込み、彼らがどのように集団的な意思決定を行っているかを明らかにするのが、トーマス・シーリー著、片岡夏実訳「ミツバチの会議」(築地書館 2800円)。
ミツバチ研究の第一人者である生物学者が、ミツバチの生態の中でもとりわけ謎の多い“分蜂”について解き明かしていく。
分蜂は、初夏に始まる。まず、女王蜂がただ1匹の娘女王を育成する。ある程度まで成長すると、母女王は娘女王に巣を譲り、一部の働き蜂と共に新しい巣作りのために出発する。働き蜂は、木の枝などにコロニーをつくり、母女王蜂を守護しながら新しい巣にふさわしい場所を探すため交代で探索に出かける。
数百匹にも及ぶ探索蜂は、コロニーに戻るといくつもの候補地について、場所と評価をダンスで仲間たちに伝える。その中から、理想の場所が平等に検討され、もっとも優れた場所に合意がまとまるのだ。