「終活難民」星野哲著
■誰にも迷惑をかけずに人生を終わらせたい
高齢化と少子化のダブルパンチにあえぐ日本。そこで実際に急増しているのが孤独死だ。80代の親を60代の子がみとり、残された子がそのまま無縁社会の犠牲となる。仮に先祖伝来の墓があってもきちんとした継承者がいなくては墓は無縁仏化してしまう。単にカネがあるかどうかだけが問題ではないのだ。
たとえば女優・水の江滝子の場合、自分も知人友人たちも元気なうちに盛大な「生前葬」をみずから演出し、それ以後は公の場にはほとんど姿を現さずに16年後にひっそりと亡くなった。また自分に子どもがないとか、あっても疎遠だというような場合、将来の自分の死に備えて葬儀内容や埋葬場所、諸契約の解約・清算などの事務処理、さらには老後から終末期にかけての入院時の身元保証や成年後見、体が不自由になった際の生活支援などまでを含む「生前契約システム」も最近では少しずつながら整い始めている。
本書は新聞記者が社会人大学院生として書いた修士論文を本にしたもの。いわば会社員として、第二の人生に備えた職場での終活の産物ともいえようか。