「浮世絵で読む、江戸の四季とならわし」赤坂治績著
■雛祭りになぜ桃の花?
浮世絵を読み解きながら、江戸時代の庶民の暮らしや年中行事、しきたりなどを紹介する江戸本。
まずは歌川国貞が駿河町の三井越後屋前の正月風景を描いた「初春の駿河町」や英一蝶の「十二カ月の内・正月」を鑑賞しながら、門松・しめ縄について取り上げる。正月に門松を立てる習慣は、平安時代に始まり、もともとは松だけで竹は立てなかったそうだ。門松=年神の降り立つ依(よ)り代になぜ松が使われるようになったのか解説。その他、なぜ雛祭りには桃の花を飾るのか、大飢饉の犠牲者を悼む慰霊祭が起源だという両国の花火など。浮世絵に描かれた風俗・事物を取り上げながら、四季折々の行事のルーツに迫る浮世絵歳時記。
(NHK出版 900円)