「ド・ローラ節子が語る バルテュス 猫とアトリエ」夏目典子、NHK出版編

公開日: 更新日:

■「20世紀最後の巨匠」の芸術世界を案内

 ピカソに「20世紀最後の巨匠」と称された画家バルテュス(1908~2001)の没後初の大回顧展に連動して刊行されたビジュアル・アートブック。連れ添った節子夫人が生前の素顔から私生活、そしてバルテュス芸術の本質まで、多くの作品やプライベート写真を織り交ぜながら語る。

「何かを描くときはその対象と一体化することが大切である」と語っていたという氏は、東洋の目を持ち合わせていた画家であったという。休暇を過ごしたイタリアのモンテカルベッロの風景を描いた作品は、自然と人間とが一体化した東洋の山水画を思わせる。

 また絵画というものに高い理想を持っていた画家は、「美には目指すべき基準があり、感情に左右されるようなものは、本当の絵ではない」と、熱中して描いた絵を時に鏡に映し、左右逆に見ながら客観的に見直していたという。その際に使われた鏡や80年ほど前から愛用するアトリエ着などがそのまま残り、生前のままの緊張感が伝わってくるアトリエの写真や、ついのすみかとなったスイス最大の木造建築「グラン・シャレ」の内部の写真なども公開。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭