「ルポ 介護独身」山村基毅氏
そんな介護者の孤立感に追い打ちをかけるのが周囲の「目」だという。
「男性が専従介護をしていると近所からは怪しがられ、親類縁者からは親の年金でラクして生活している、財産狙いと言われたという話も聞きました。親を助けることの安心感があっても無職であること、息苦しさなど相まって、悲惨な事件に発展するケースが多いのも男性介護者の特徴です」
現在、男性の生涯未婚率は約20%。団塊世代が高齢化していく近い将来、団塊ジュニアの独身介護者が増えるのは必至。決して他人事ではない。
「介護を引き受けても行政サービスなどを利用して仕事は続けたほうがいいし、周囲に介護中であることを伝えたり、同じ境遇の人と話すこと、聞いてもらうことも大切です。誰もが介護に携わる可能性がある今、唯一避けられるのは『孤立』だけ。今のうちから周囲とつながる術を見つけておくこと、周囲は介護従事者をねぎらうことを忘れないでほしいですね」
(新潮社 720円)
1960年、北海道生まれ。ルポライター。著書に「民謡酒場という青春」「戦争拒否 11人の日本人」「はじめの日本アルプス」など多数。