「ルポ 介護独身」山村基毅氏
非婚、少子化、超高齢化社会、そして2000年にスタートした介護保険による「介護の在宅化」の流れが加速する中で、独身者が親を介護する「介護独身」が、今、急激に増えている。本書は、新しい社会問題になりつつある独身者による介護の実態に斬り込んだルポルタージュだ。
「親の介護が必要になったとき、それを担うのは独身者が圧倒的に多く今の中心年齢層は40代、50代です。結婚している兄弟姉妹からは『独身だから時間の融通がきくでしょ』と暗に押し付けられ、親もヘルパーなど他人の世話になりたくないと言いだすと、独身者は自分がやるしかないと考えるんですね。もちろん何とかなると楽観視する面もあります。だけど、いざ介護が始まると、多くの人が独身ならではの“闇”に陥るんです」
多くの場合、独身の介護者は親と2人暮らしだ。そのため、介護に追われ友人や同僚と付き合いがなくなり、言葉を交わすのは病院かケアマネジャーのみとなる。日々、変化する症状に一人で対応しているうちに精神的にも肉体的にも疲労が降り積もっていく――。
「既婚者なら自分の家庭という別世界がありますが、“何でも一人”に慣れている独身者は介護も一人で抱え込んでしまい、気が付けば閉じた世界になっている。独身介護者が陥る闇、それは『孤立』です。特に男性のそれは深刻。あまり人に相談しないうえ、真面目に介護をするので心身共に追い詰められ、離職してしまう人も多いんです」