冬は酒場、冬こそ居酒屋編
やっぱり酒場は、寒い冬の熱燗が似合うのではないだろうか。どんな種類のアルコールだろうと、おいしくて楽しい時間をすごせるのが、酒場や居酒屋のいいところ。北風がピューッと吹いて、あったかい店が恋しくなる、そんな季節にピッタリの本を紹介する。
なぎら健壱著「酒場のたわごと」を読むと、まるで飲み屋のカウンターかテーブル席にいる気分になれる。
ぐいぐい“読める”エッセーは、サブタイトルどおり「酔って語ってつぶれて眠る……オヤジの寝言」をつづったもの。面白さは3つある。まずは、加齢や老いについて身につまされ、共感できる点。
なぎらさんは、ある時トートバッグからマスクを取り出そうとする。入れたはずなのに、ガサゴソ探しても見つからない。おかしいなあ、と頭をひねったあげく、愕然とする。マスクをしている自分に気づくのだ。
若い芸能人の顔が分からないのはもちろん、年をとると謎の夢を見るようになる。師匠とあがめるフォークシンガー、故・高田渡さんが出てくる夢は実に不可解だ(なぎらさんがフォークシンガーだと知らない世代も増えてるが……)。