冬は酒場、冬こそ居酒屋編
たとえば、「博才がある人間とは、引き際を見極めることができる人間のことである」――。
ネットオークションやパワーストーン、宗教団体やらコンサートをめぐる笑えるエピソードも満載。酒場の楽しさは、酔っぱらいの会話にあるのだ。
(実業之日本社 1200円+税)
■「神馬」上野敏彦著
京都・西陣にある酒場、神馬は「しんめ」と読む。創業80年、京都1200年の歴史からは短いともいえるが、3代にわたる居酒屋の歴史は、それだけで人間ドラマだ。
酒谷禎一と妻・とみが1934年に開業。京都・西陣が空襲に遭って閉店。営業を再開するが、食糧不足で履物屋に衣替え。居酒屋としての再開は戦後8年目だった。61年には店内に太鼓橋を造る大改造。息子芳男、孫直孝が店を継ぐ。かつては映画館が林立した千本界隈の魅力を伝えながら、白壁が美しい神馬が愛される理由を、記録作家の著者が解き明かす。
(新宿書房 2400円+税)
■「居酒屋『西尾さん』のぬくもり酒」西尾尚著