ヌードアート本特集

公開日: 更新日:

 過激な無修正ヌードなど、ネットでいくらでも拾える時代だ。これらの大量生産ヌードは興奮材料になるが、どこかむなしく空々しい。そこで勧めたいのが「ヌードアート」。古代から表現され続けてきた裸体には、人間の生臭い色気と毒気があり、妄想力をかき立ててくれる。「この秋は芸術鑑賞」と称して、ヌードアートをじっくり眺めてみよう。

 いにしえの時代から、肉体美の表現という口実で、神話や聖書に登場する女性の裸体が描かれてきた。キリスト教の厳しい性規範が根強く、物語を通して表現するほかなかったからだ。ところが19世紀に入ると、次第に妻や恋人、愛人、娼婦など市井の女性も描かれるようになる。巨匠や奇才と呼ばれる画家たちがこぞってヌードに挑み始めたのだ。

 そんな時代の裸婦像を集め、系統立てて掲載しているのが「美しきヌード絵画の世界」(綜合図書 1500円)だ。

 まず目を奪われるのは、写実主義のクールベ「白い靴下」。野外で白い靴下をはく女性は、靴下以外は全裸、つまり情事の後の身づくろいを描いたと想像できる。クールベの代表作は女性器をクローズアップして描いた「世界の起源」。洒脱なタイトルに挑発的な構図。反権力的な彼の姿勢が垣間見えるではないか。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…