「深海の人魚」森村誠一著
渋谷の一角に、男の隠れ家のようにひっそり存在する高級会員制クラブ「ステンドグラス」。各界の大物御用達のこのクラブには、常連客も知らない極秘の別の顔があった。それは、オーナーママの小弓が極上のホステスを駆使して提供する「特殊接待」。器量の良さはもちろん、口が堅く、気配りができ、知性、節度などの必要条件を兼ね備えているホステスをスペシャルフォース(SF・特殊接待員)として派遣して性的潤滑油として用い、数々の難題をクリアするのだ。
ところが、ある日SFの一員のさやかがある事件に巻き込まれる。秘密裏に行ってきた特殊接待と殺人事件が複雑に絡み合い、ステンドグラスに思わぬ運命が訪れるのだが……。
中国政府要人、日本宗教界を仕切る高僧、EDに陥った辣腕検事、妻を亡くした大物政治家などの権力者を骨抜きにする女のエロスが抜群。事件の真相に近づいていく刑事の推理とエロスが同時に楽しめる官能ミステリーだ。本紙連載作品の単行本化。
(幻冬舎 1700円)