「バルセロナのガウディ建築案内」丹下敏明著
いまやスペインのシンボル的存在となったバルセロナのサグラダ・ファミリア教会。起工から1世紀以上を経た今も建築が続いているその聖堂は、建築家アントニオ・ガウディの没後100年となる2026年に完成の予定だ。
ガウディは31歳の駆け出しのころに偶然、このビッグプロジェクトに加わることになり、以後74歳で不慮の事故によって死を迎えるまで43年間、聖堂の建築に心血を注いだ。ただし、生前に完成したのは全体の1割にも満たなかった。彼は設計図を作らず、膨大な模型を作っては延々と手直しを続け、別の仕事で学んだことを常に聖堂建設に反映させてきたという。
本書は、そのサグラダ・ファミリアをはじめ、ガウディが手がけたバルセロナ各所の建築物や、ゆかりの地を巡るビジュアルガイドブック。
早くからその才能を評価されていたガウディが、建築家の資格を習得する前に市の依頼で設計した旧市街ボルンの街灯や、生涯のパトロンだった富豪のエウセビ・グエル・バチガルピの壮麗な住居「パラウ・グエル」をはじめ、メーンストリート「パッセイジ・デ・グラシア通り」にそびえるガウディ建築の完成形ともいえる高級マンション「カサ・ミラ」、同じ通りにある「カサ・バトリョ」、そして依頼主の印刷業者の技術を使って作った瓦を使用した「フィンカ・ミラージェス門」など。