「アホウドリを追った日本人」平岡昭利著
鎖国から解放された明治以降の日本人は、続々と太平洋に乗り出し、遠く北西ハワイ諸島や昨今ニュースで話題の南シナ海のスプラトリー諸島にまで進出した。沖縄本島の東にある南大東島には、なぜか八丈島から2000キロもの航海を経て移住した。なぜ彼らは南の島々を目指したのかを、アホウドリとの関係から解き明かしたリポート。
明治期、日本は鳥類の輸出大国だった。中でもアホウドリは容易に捕獲でき珍重された。いち早くその価値に気づき、伊豆諸島最南端の鳥島での捕獲事業で巨万の富を得た玉置半右衛門など、一獲千金を夢見て島々に渡った男たちの足跡をたどりながら、知られざる日本の近代史を解き明かす。(岩波書店 780円+税)