「アイヌの世界を旅する」北原次郎太監修
日本の先住民族、アイヌの世界を案内してくれるビジュアルブック。
わずか150年前まで、北海道はアイヌが主体の世界だったが、現在、550万人の道民に対してアイヌ民族人口は約2万人(調査を拒否している人などを加えるとその数は数倍になるらしい)。アイヌ語は、周囲に同系の言語が見つからない孤立語で、民族名のアイヌとは本来「人間」の意味。和人(日本人)にもなじみの深い「カムイ」は「神」の意だ。あらゆるものに霊魂が宿っていると考えるアイヌ民族は、特に強い霊力を持ち人間への影響力が大きいものを「カムイ」と呼ぶという。その他「イオマンテ=霊送り」「コロポックル=フキの茎の下にいる者」など、まずは7つのキーワードでアイヌの世界観を解説。その上で道内各所に伝わるアイヌゆかりの地を訪ねる。
まずは日高山脈の西側、太平洋に沿って広がる日高地方と胆振地方へ。あわせて「日胆」エリアと呼ばれるこの地域は、北海道の中では比較的温暖な気候で、アイヌ文化の伝承、普及活動が活発に行われている。
2020年に拡張整備され国立博物館になる予定の白老の「アイヌ民族博物館」など、点在する施設を紹介。二風谷では、アイヌ手仕事の最高峰といわれる「アットゥシ(織物)」やアイヌ文様が彫り込まれた「イタ(盆)」などの伝統工芸品の工房を訪ねる。