「写真で楽しむ究極のまちがい探し」マシュー・ローウィング編、ダニー・ボールドウィン制作、斎藤静代訳
地平線まで宝石をちりばめたように光り輝くニューヨークの摩天楼の夜景、無数の歯車が重なり合う古びた時計の中身のアップ、リオデジャネイロの丘の斜面を埋め尽くしたスラム街、そしてお馴染みの渋谷のスクランブル交差点。
どれも考えられた構図と高度な撮影技術で極上の写真作品に仕上がっているのだが、写真集にしては写真の選択に脈絡がなく、おまけに左右見開きに同じ風景が並んでいる。書名を知らずに手に取ったら首をかしげていたことだろう。
本書は、「間違い探しクイズ」をイラストではなく、写真でやってしまおうという試み。
それも、通常はちょっとした隙間時間に楽しむためのものとして5カ所くらいの間違いを探すのが定番だが、何と写真1枚に50カ所の間違いがあるのだ。概要が分かったところでもう一度、冒頭の風景を頭に思い描いて欲しい。摩天楼にそびえるさまざまな高層ビルの無数の窓のそれぞれの明暗や、どれ一つ同じものがなく規則性もなく並んだスラム街の家々、そして渋谷のスクランブル交差点を行き交う人々などを一つ一つ見比べ、目を凝らし、その違いを見つけていかなければならないのだ。