「イラストで読む『芸術家列伝』 ボッティチェリとリッピ」古山浩一イラスト、古玉かりほ編、柾谷美奈訳
教科書でもおなじみのあの名画「ヴィーナスの誕生」の作者であるサンドロ・ボッティチェリと、彼の最初の師匠フィリッポ・リッピの人生をその作品とともに紹介するアートブック。ミケランジェロと師弟関係にあったジョルジョ・ヴァザーリが、イタリアルネサンス期の画家・彫刻家・建築家163人の伝記をつづった1550年刊行の名著「芸術家列伝」を現代によみがえらせ再構成したシリーズの第2弾だ。
ボッティチェリの作品はご存じでも、リッピの名を知る人は少ないのではなかろうか。
この人物、とんでもなく破天荒な人生を歩んでいる。幼くして両親を亡くし、修道院で育った彼は、若くして絵画の才能を認められるが、勢いのまま修道院を出奔。一時は海賊にとらわれ奴隷生活を送り、ようやくフィレンツェに戻ると、メディチ家の当主に認められ数々の作品を生み出す。
そして、色情狂だった彼は、自らの欲望を抑えることができず、さまざまなエピソードを残し、一説には愛人の家族に毒を盛られて死んだともいわれている。
一方、皮なめし職人の家に生まれたボッティチェリは、金細工師の工房で働くが、絵画に夢中になり、名人の誉れが高かったリッピの門下に。