「謎解き・津波と波浪の物理」保坂直紀著
謎に満ちた水面の波の性質を解説したサイエンステキスト。波は身近な存在でありながら、数式にすると、大学レベルの数学の力量が必要で、その性質について小中高校では教えていない。本書では、数式を使わず、ネット上に設けられた動画と合わせて講義する。
波とは盛り上がった山の部分と、山と山の間の谷の部分が上下動を繰り返しながら移動していく現象。その水面を上下させる力が「重力」と「表面張力」だ。海の波は、沖で生まれて育つ。風によって海面に生まれたわずかな起伏が大きくなって海を渡っていくのだ。風が吹いたときに最初に出来る「さざ波」から、地震によってできる津波まで、その誕生から消滅までの原理を解き明かす。
(講談社 860円+税)