「リストラ日和」汐見薫著
大手銀行名古屋支店で営業部長を務める森山は、支店長の横島から、子会社への転出を命じられる。大阪支店時代から横島に仕えてきた森山には青天の霹靂だった。人事に逆らうことが出来ず、子会社のレジャー施設で働き始めたが、銀行員時代のプライドが捨てられず、辞めてしまう。
そして、社会保険労務士の資格試験の勉強を始めた森山に、東京地検から呼び出しがかかる。地検に出向くと、検事の江口から大阪支店で扱った債権回収の案件について根掘り葉掘り質問される。質問の内容から森山は、検察が横領の疑いで横島の身辺を調べているのではないかと気づく。そんな中、森山は銀行員時代の顧客から告訴されてしまうのだった。
リストラされた中年男を主人公に描く心に染みる長編小説。
(角川春樹事務所 780円+税)