「このミス」大賞の一色さゆりさんは小学生で春画描いた
「直木賞作家」の東山彰良氏、「チーム・バチスタの栄光」の海堂尊氏など過去の受賞者に続く逸材になるのか。「第14回 このミステリーがすごい!」大賞の大賞に輝いた一色さゆり氏(27)だ(城山真一氏と共同受賞=賞金1200万円は折半)。東京芸術大学芸術学科卒という才媛の素顔をのぞいてみた。
■目指すのは松本清張のような社会派作家
「芸術の世界で生きることより、幼いころから作家を目指していたような気がします。その思いは、東京芸大で美術史を学び、自分が見た芸術作品の感動を人々にどう伝えたらいいのかと考えているうちにより強くなりました。作品を書く上で参考にしているのは、桐野夏生さんや松本清張さんです。今後も美術の面白さを伝えられるような話を書きたいです。ほかにも、留学中の香港中文大学大学院の修士論文を夏までに書き上げなくてはいけません。また、次回作として、香港で2014年に巻き起こった雨傘革命を題材にしたミステリー小説の構想も練っています」
受賞作の「神の値段」(宝島社=2月10日発売予定)は、ギャラリー経営者の死をきっかけに、そこで働く主人公の佐和子が、存在すら疑われる前衛画家や中国系コレクターの隠された謎を解くストーリーだ。著者自身のギャラリー勤務の経験が本編に生きている。