「PTAグランパ!」中澤日菜子氏
主人公は、大手家電メーカーを定年退職し、悠々自適の隠居生活を送る武曾勤67歳。ある日、商社勤めの一人娘が小学校1年の孫娘を連れて出戻ってきた。忙しい娘にかわりPTA副会長を引き受けたものの、主婦たちの戦場で“ザ・昭和の男”は大苦戦――。
「私、昔からオジサンを観察するクセがあるんですが、今、見ていて飽きないのは定年退職した60代半ばの男性。高度成長期に仕事一筋で生きてきて、定年になったとたん、次に何をやろうかとジタバタもがく様子がユーモラスに見えるんです(笑い)。そんな男性が、仕事という支えがなくなったとき、どういう生き方ができるのかを書いてみたかった。しかも、仕事とは対極にあるお母さんの巣窟のようなPTAにポンと放り込んだら、すごい化学反応が生まれるんじゃないかと思ったんです」
PTAのメンバーは会長が24歳金髪のギャル男、もうひとりの副会長はパートで働く主婦・順子。さらに会計監査でボスママの雅恵と、その取り巻きたちという面々だ。「効率第一」「資料づくりは女の仕事」――。会社の世界しか知らない勤が女性陣とうまくいくわけがなく、たちまち総スカンを食ってしまう。