今ではすっかり顧みられなくなってしまったフランス文学だが、そこで描かれるテーマの多くは、個(自我)と家族、個(自我)と社会という現代日本が直面する問題だと著者はいう。日本の現状を理解するのに役立つお薦めのフランス文学の名作を紹介するブックガイド。
「親が子どもに階級上昇の夢を託そうとしたときに子どもがどのような思いをするのか」が分かる「子ども」(ジュール・ヴァレス作、1879年)をはじめ、「女性が誰の手も借りずに社会で生きてゆこうと決意するとどのような恋愛が残されているのか」を描いた「シェリ」(1920年、コレット作)など、24編の名作を読み解く。(NHK出版 1200円+税)