「近代天皇論」片山杜秀氏
「お言葉」を受け、政府は天皇退位の規定を今国会に提案する見通しだが、一代限りの特例法でというのが有力だ。
「『お言葉』は皇室のあり方だけでなく、福祉国家や民主主義の危機など大きなテーマを我々に提示してくれました。それなのに政府は議論を矮小化し、『今上天皇の高齢に伴う例外措置』という形でおさめようとしている。『神』か『人間』かという左右激突の議論になってしまうのを避けたいのでしょうが、本質的な議論が行われないのは非常に残念です」(集英社 760円+税)
▽かたやま・もりひで 1963年生まれ。政治学者。政治思想史研究者。慶応大法学部教授。「未完のファシズム―『持たざる国』日本の運命」で司馬遼太郎賞。