「脳はいいかげんにできている」デイヴィッド・J・リンデン著、夏目大訳
人間の脳は、「巧みに設計され、効率的にはたらく」究極の機械とよく絶賛される。しかし、脳は「寄せ集め、間に合わせの産物」に過ぎず、にもかかわらず、非常に高度な機能を持ち得ていることが実は驚異なのだという。そして、私たちが抱く感情や知覚、行動の多くは、脳が非効率な設計になっていることから生じているとも。本書は、そんな知られざる脳と心の仕組みを説いたサイエンス・ノンフィクション。
脳には、何億年という進化の中で生じた種々の問題に「その場しのぎ」で対応してきた痕跡がすべて残っているという。特定の相手と夫婦関係を続けることや、文化を問わず宗教を持つことなど、人間ならではの特徴を脳の成り立ちから解説。脳の常識を覆す知的好奇心をくすぐる書。(河出書房新社 980円+税)