電車に乗れば誰もが一心不乱に…「スマホ地獄」の行く末

公開日: 更新日:

「スマホ廃人」石川結貴著

 子育てのストレスからオムツ替えの最中もスマホを手放せなくなった母親。「まわりに嫌われたくない」といくつものLINEグループを使い分け、学校内の序列(カースト)の上下に悩む女子中高生。ソシャゲ(ソーシャルゲーム)にハマったあげく万引に手を染め、進学校を中退し、ソシャゲ仲間の社会人からいいようにあしらわれて引きこもりになった男子高校生。70過ぎて老妻の介護に疲れ果て、ネット麻雀にハマって片時もスマホを放さなくなった老人……。

 ページをめくるたびに次から次へと気のめいるような実例が続々と出てくる。他方で外勤の営業マンはGPSつきのスマホを会社から支給され、昼飯をどこで食ったかまで把握されている。コンビニのイートインで一服していると上司から「調子はどう?」とやんわり圧力をかけるメッセージが入るのだ。要は常時監視されているということである。

 最初はキーボードでコマンドを打ち込んで操作したパソコンは、いまや指先でツルツルすれば幼児でさえ使いこなせる機械となった。

 スマホブームを巻き起こしたアップルのスティーブ・ジョブズは、自分の子どもたちにはスマホに触らせなかったというエピソードをいま一度噛み締めたい。(文藝春秋 740円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!