「発達障害」岩波明氏
2005年に発達障害者支援法が施行され、人気モデルの栗原類やパリス・ヒルトンが発達障害だと公表したこともあり、発達障害がメディアで取り上げられることが増えている。半面、誤解や誤診も多い。
「空気が読めなかったり、同じ失敗を繰り返したりする身の回りの“困った人たち”をそれだけで発達障害ではないかと誤解したり、専門家でも社会を震撼させた重大な殺人犯を一面だけみて発達障害だと誤診しているケースもあるんです」
本書は、発達障害の臨床研究第一人者の著者による発達障害の解説書。多くの事例を紹介しながら、周りの対処法や最先端の治療法を紹介している。
発達障害という言葉が独り歩きしているため、ひとつの疾患名のように思われているが、ASD(自閉症スペクトラム障害)やADHD(注意欠如多動性障害)などの疾患の総称である。
「アスペルガー症候群はASDの中の軽い疾患、自閉症はASDの中の重い疾患のことなんです。広い意味では発達障害には知的能力障害(精神遅滞)やコミュニケーション障害も含まれます。これらを合併している患者もいるので誤解されやすく、専門家でも診断を誤ってしまうんですね」