「水素分子はかなりすごい 生命科学と医療効果の最前線」深井有著
「水もの商売」の宣伝本と思う人もいるかもしれない。しかし、ここで書かれている水素とは水やタンパク質、脂肪、炭水化物といった化合物としての水素ではなく、分子状水素(H2 )。その医療効果(水素分子医学)について現状と将来を紹介したものだ。著者は東大理学部物理学科を卒業後に「水素系の物理と材料科学」を専攻し、中央大学名誉教授や東大生産技術研究所客員研究員を務める科学者。医者とは違った視点で水素分子医学について書いている。
水素には抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用、抗アレルギー作用、代謝改善作用などがあるという。濃度1・2PPMの水素水を1日900ミリリットルずつ8週間連続投与したところ、脂質と糖質の代謝が改善され症状が著しく改善したとの論文も紹介されている。栄養が化合物でなく分子で語られる時代に入ったことを実感できる一冊でもある。(光文社新書 900円+税)