「健太さんはなぜ死んだか」斎藤貴男著
2007年、佐賀市で自閉症スペクトラムと軽い聴力障害のある安永健太さんが、不審者と間違われて警官たちに取り押さえられて死亡した。民事裁判の遺族側の上告理由書には「顔面を含む体中に傷を負い拷問にかけられたような姿で死亡した」と書かれているが、解剖の鑑定書では死因は「心臓性突然死」とされた。
警官は「自分たちの警告に従わなかったから“精神異常者”だと判断した」と言う。全国の県警本部にはパンフレット「知的障害のある人を理解するために」が配布されていたが、警官は教養プログラムを受けたことはなかった。もし、健太さんが障害者でなかったら……。
警官たちの「正義」を問うノンフィクション。(山吹書店 1500円+税)