「悪左府の女」伊東潤著

公開日: 更新日:

 物語の主人公は、下級官人である春澄家の娘・栄子。両親も亡くなり、姉も嫁いでしまったため、婿をとって家を存続させる使命を持っていた。

 しかし、背が高く目鼻立ちのくっきりとした顔立ちをしていたため当時の美人の基準と合わず、醜女と呼ばれて縁談がなかなかまとまらなかった。

 ある日そんな栄子のもとに、左大臣・藤原頼長の使者から、女房として仕えて事を首尾よく行えば、婿を世話して春澄家を存続させてやるとの話が持ち込まれる。不思議に思いながらも、お役目を果たすべく摂政家の東三条殿へと向かった栄子は、近衛帝の皇后・多子に仕える役目を与えられた。しかしその裏には、頼長の恐ろしい策略が隠されていた……。

 平安時代末期、女を使ったさまざまな策略が行き交う時代を栄子の視点から描いた歴史小説。

 公家と武士の権力争いが起こった保元の乱へと動き出した時代に、権力者の手駒として使われた女たちの運命がダイナミックに描かれている。(文藝春秋 1750円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動