戦国武将が現代人の悩みにアドバイス
「超訳 戦国武将図鑑」富増章成著
もし、戦国武将たちが現代の世によみがえったら、私たちをどのように導いてくれるのだろうか。そんな期待に応えてくれるのが本書だ。
一見、戦国武将の歴史人物図鑑のようにも見えるが、その中身は「現代社会は、まさに戦国!」という著者による生き方・ビジネス指南書。
コンビニ業界の出店競争が「戦国武将の支城」が増えたり減ったりするのと同じことのように、ビジネスにしのぎを削るさまは、見た目は穏やかでも、内容は戦国時代と同じだと著者は言う。そんな厳しい時代を生きていくための、知略や経営法、苦境の対処法などを戦国武将に学ぶという趣向だ。
一人一人の武将のデータとその生きざまを紹介。出身地や幼名、仕えた主人などとともに得意な戦法や後世の評価なども網羅。義兄の織田信長と古くから同盟を結んでいた朝倉義景との板挟みに悩んだ「浅井長政」は、得意な戦法は「夫婦円満」、後世の評価は「マイホームパパ」などと紹介される。
そんな浅井長政は、「家族と会社のどっちをとったらいいか悩んでいます」という人生相談に、社会的つながりを優先して朝倉との同盟を選んだのは、そうすれば妻と娘を守ることができると思ったからだと述懐。しかし、結果は逆になった。
実は人というのは、家族以外に時間と関心を向けている。家族を大切にしようと思うなら何があっても「家族は犠牲にできない」という前提を出発点にしなければならないと説く。
その他、豊臣秀吉に筑後・柳川城を与えられるが、関ケ原の戦いの結果、牢人(失業武士)にまで身を落とし、徳川家康に再び大名に取り立てられた立花宗成が「リストラ」の悩みに答えるなど、60人の戦国武将について学びながら、人生の難問にもアドバイスをもらえる一石二鳥本。
(かんき出版 1400円+税)