「アポロンの嘲笑」中山七里著
4日前に起きた大地震と福島原発事故の混乱が続く中、福島県石川郡平田村の民家で殺人事件が発生。所轄署の刑事・仁科は、駐在所の巡査が逮捕した犯人を引き取りに現場に向かう。
被害者の金城と加害者の加瀬はともに原発の作業員で、この夜、加瀬が金城の妹との結婚を両親に申し込んだところ、急に金城が怒り出したという。金城が持ち出した包丁を奪い合っているうちに金城の腹に刺さってしまったらしい。連行中、激しい余震に襲われパトカーが立ち往生、仁科らのスキをついて加瀬が逃亡する。県警も加わった捜査本部で仁科は見慣れぬ2人組に不審を抱く。2人は東京からきた公安刑事だった。
東日本大震災直後の福島を舞台に描く長編社会派サスペンス。
(集英社 700円+税)