「大友の聖将」赤神諒著
大友宗麟に近習として仕える柴田治右衛門は、宗麟の側室、マリアと深い関係になっていた。だが、マリアは体調不良を理由に治右衛門と交わろうとしない。実はマリアは妊娠していたのだが、どちらの子供かわからない。治右衛門はマリアを連れて逃げようと決意した。海を渡れば大友の手は及ばない。宗麟の正室、奈多夫人はマリアを憎み、マリアの信仰するキリシタンの牙城、デウス堂を焼けと命じる。宗麟はキリスト教に寛容だったが、奈多夫人をなだめるためにデウス堂を焼くことに同意した。治右衛門は自分の秘密を知った同輩の神志那信助をひそかに斬殺したが、それも露見しそうだ。急がねばならない。
後にキリシタン武将、天徳寺リイノと呼ばれる男を描く時代小説。
(角川春樹事務所 1700円+税)