「稼業」向谷匡史著
稲川会碑文谷一家熊谷組長にして碑文谷一家の執行部を務めていた熊谷正敏は、2001年、フランス人記者と知り合ったことを機に、度々フランスに出向くようになる。
あるとき、当時のシラク大統領主催の展示会で映画「TOKYO EYES」などを撮ったリモザン監督と知り合い、意気投合。やがて監督から「ヤクザ映画の現実を映画に撮りたい」と相談される。
「事実をありのままに撮る」ことを条件に出演を承諾した熊谷だが、撮影がスタートすると同時に、稲川裕紘3代目の急逝、次期会長争いに巻き込まれ、降格の憂き目に遭う――。
撮影から1年半後、ヤクザの人とのつながりやしきたりを通して任侠道という日本文化を描いた「Young Yakuza」はカンヌ映画祭ドキュメンタリー部門で上映され、熊谷はレッドカーペットを踏む。
生い立ちから任侠の世界、熊谷自身の美学や生き方にまで迫った異質のノンフィクション。
(青志社 1400円+税)