「南三陸日記」三浦英之著

公開日: 更新日:

 東日本大震災直後、宮城県南三陸町に赴任した新聞記者によるコラム集。

 取材中、記者として必ず聞かなければならないのは自宅と家族のこと。その質問に「申し訳ありません。家も家族も無事なんです」と答えた渡辺宏美さん(35歳)は、取材の翌日、隣市に引っ越していった。断水が続く町では暮らしが成り立たず、何よりも周囲に「あんたはいいちゃね、家も車も無事で」と言われている気がして、胸が張り裂けそうになるからと。

 その他、婚姻届を出しに行ったまま帰らぬ夫との子を産んだ女性とその家族の物語、駐車場の縁石を机代わりに勉強する子供とボランティアの元教師の交流など、被災地で暮らし、被災者に寄り添いながら記された文章に心が揺さぶられる。

 (集英社 550円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    元フジ中野美奈子アナがテレビ出演で話題…"中居熱愛"イメージ払拭と政界進出の可能性

  4. 4

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  5. 5

    芸能界を去った中居正広氏と同じく白髪姿の小沢一敬…女性タレントが明かした近況

  1. 6

    中居正広氏と結託していた「B氏」の生態…チョコプラ松尾駿がものまねしていたコント動画が物議

  2. 7

    中居正広氏、石橋貴明に続く“セクハラ常習者”は戦々恐々 フジテレビ問題が日本版#MeToo運動へ

  3. 8

    中居正広氏が女子アナを狙い撃ちしたコンプレックスの深淵…ハイスペでなければ満たされない歪んだ欲望

  4. 9

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  5. 10

    SixTONES松村北斗 周回遅れデビューで花開いた「元崖っぷちアイドルの可能性」