「ビッグ・クエスチョン」スティーヴン・ホーキング著、青木薫訳
昨年3月に亡くなったホーキングはブラックホールの研究で知られている。先日、世界初のブラックホールの撮影に成功したと報じられたが、もし彼がこれを見ることができたら、さぞ喜んだことだろう。
本書はそのブラックホールも含めて、さまざまな人たちからホーキングに対して問いかけられた〈ビッグ・クエスチョン〉に対する答えをまとめたもの。その質問は次の10項目。
①神は存在するのか?②宇宙はどのように始まったのか?③宇宙には人間のほかにも知的生命体が存在するのか?④未来を予言することはできるのか?⑤ブラックホールの内部には何があるのか?⑥タイムトラベルは可能なのか?⑦人間は地球で生きていくべきなのか?⑧宇宙に植民地を建設すべきなのか?⑨人工知能は人間より賢くなるのか?⑩より良い未来のために何ができるのか?
科学的・文明論的なものを取り混ぜ、どれも魅力的なビッグ・クエスチョンだ。ホーキングは研究成果を交えながら、いつの日か発見されるだろう統一理論の視点からこれらの問いに答えていく。歯ごたえはあるが、その奥にはロマンチックな夢が広がっている。
(NHK出版 1500円+税)