「偽りの春」降田天著
和枝は、朱美と希が1000万円の金を持って消えたのに気づいた。警察に駆け込むわけにはいかない。5人の詐欺グループで高齢者をターゲットにだまし取った金なのだ。報告を受けた私は、シングルマザーと暮らしている隣家の波瑠斗にランドセルをプレゼントしたら、この町から去ろうと考えた。
そんなとき、「これまでのことを黙っていてほしければ、1000万円用意しろ」という脅迫状が届いた。仕方なくキャディーの仕事で知り合った認知症の老人の家から1万円札の束10個を盗み出すが、その帰途、パトカーに声をかけられる。「おばさん、具合悪いの?」(表題作)
「落としの狩野」と呼ばれる刑事が活躍するミステリー短編集。
(KADOKAWA 1500円+税)