「誰そ彼の殺人」小松亜由美著
仙台市の北部、泉区寺岡の沼地で男性の遺体が発見された。上顎と下顎は粉砕、さらに切断された両手首と両足から先は行方不明だ。
司法解剖を行った今宮准教授と解剖技官の梨木楓は、腐敗度と犯行現場の状況から、首を絞められ殺されたと推測する。やがて被害者は瀬口桂介32歳と判明。桂介にはIT企業社長の兄・亮介がおり、2人は一卵性双生児だった。亮介の自宅を訪れた楓と今宮は亮介の「過去にA型肝炎を発症した」との供述からある疑念を抱く。(表題作)
解剖技官の楓と上司で准教授の今宮が病理検査から証拠に迫る医療ミステリー。ほかに、温泉旅館で編集者が不審死した「恙なき遺体」など全4編を収録する。
(幻冬舎 1600円+税)