「沃野の刑事」堂場瞬一著

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 警視庁捜査1課理事官の高峰靖夫に電話が入った。かつて親友だった「東日ウィークリー」編集長、小嶋学の息子・和人が自殺したという。昨年春、大学を卒業して総合商社、朋明商事に入社したばかりだ。

 葬儀に訪れた高峰は、公安1課の理事官、海老沢六郎に小嶋が「おまえたちが殺したんだ!」と詰め寄るのを見て、2人の間に割って入った。和人は学生時代、共革同の活動家で、デモに参加して逮捕されたが不起訴処分となった。それが会社に知れたため、自殺したのではないかと小嶋は考えたのだ。だが、情報は漏れていない。なぜかこの件で本部の公安も動いている。

 定年間近の2人の警官が、防衛問題にからむスキャンダルに挑む警察小説。

 (講談社 1700円+税)

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