「沈黙法廷」佐々木譲著
警視庁・赤羽署管内で初老の独居男性が殺された。被害者は、自宅寝室のマッサージチェアに座ったまま絞殺されていた。赤羽署の刑事・伊室の捜査で、被害者宅にはデリヘル嬢や家事代行サービスの女性らが出入りしていたことが分かる。
捜査本部が設けられ警視庁の刑事らも合流。やがて、フリーの家事代行業者の美紀が捜査線上に浮かぶ。
事情聴取のため伊室らが自宅に向かうと、美紀は一足早く到着していた埼玉県警に連行されてしまう。1年半前に起きた同様の事件の容疑者だという。美紀と関係があった3人目の老人の死も明らかになるが、美紀は一貫して犯行を否認。状況証拠しか見つからぬまま裁判が始まるが、美紀は黙秘を貫く。
警察小説と法廷小説双方が堪能できる長編。
(新潮社 1050円+税)