「志らくの 食べまくら」立川志らく著
師匠の立川談志は日本の貧しくたくましかった時代を感じるので、発展途上国が好きだった。だから、現地の「こんなの食えるのか?」というものでもガツガツ食べた。だが、志らくは偏食で、ハワイに行ってもざるそばを食べるくらいだ。
ニューヨークに行ったとき、かみさんが、せっかくだから地元の人が行く店に入りたいと言う。よそのテーブルでおっちゃんが食べている皿を指さして注文。想像を絶するまずさだった。
かみさんが体を張って食べて、体裁を保ってくれた。世の中にはこんなにも食べられないものがあると、食の奥深さを痛感した。他に、腹に一物ある蛭子能収がおごってくれた串焼きなど、食の話題30席。
(双葉社 1400円+税)